
こんにちは。タクマ™ [@suwaru_blog] です。
AWS 初心者の方はまず EC2 や RDS 利用することが多いと思いますが、
なにはさておき VPC 作成しないとはじまりません!
…が、VPC では普段なじみのない用語・概念に遭遇すると思います。
今回、初心者にもわかりやすいように VPC の基礎について、実際の例をふまえて解説します!
実際に VPC とパブリックサブネットを作成して、
EC2 でサイト公開する手順も解説しているので、この記事のあとにどうぞ!
VPC とは
AWS の VPC (Virtual Private Cloud) について説明します。
- AWS 上に作るプライベートなネットワーク環境 (仮想 OS) のこと
- VPC の中で AWS リソースを起動できる
- たとえば VPC の中で EC2 インスタンスや RDS を起動できます
そんな人もいるかもしれませんが、それは AWS デフォルトの VPC が起動しているのです。
ネットワーク環境の構築で考慮すること

一般的なネットワーク環境を作る場合と同じく、VPC も以下の考慮が必要です。
※ 細かい用語はあとで説明します。
- ネットワークレンジ
- ネットワーク環境のノード数を踏まえて、どれくらいの大きさが必要か CIDR を決定する
- サブネット
- ノードの役割によってルールを決めてグループ分けされた VPC 内の帯域
- ルール① インターネットの世界に公開するかどうか
- → ネットに繋がるパブリックなサブネットにするか?
- → 隔絶されたプライベートなサブネットにするか?
- ルール② サブネット同士で通信させて良いか?悪いか?
- → ルーティングテーブルで通信設定する
- → ネットにも繋げる場合は Internet Gateway を設定
- ルール① インターネットの世界に公開するかどうか
- ノードの役割によってルールを決めてグループ分けされた VPC 内の帯域
- VPC の利用料金
- いくら VPC を作成しても、それ自体の料金は無料
- ただし、以下を利用する場合は料金が発生する
- VPN 接続
- NAT Gateway
- → プライベートサブネットがネット接続したいときに必要
アーキテクチャ例と VPC 用語

具体例を踏まえて、VPC に登場する用語を解説します。10.0.0.0/16
というネットワークレンジ VPC を作成して、以下アーキテクチャを構築するとします。
AZ | パブリックサブネット | 用途 |
---|---|---|
1a | 10.0.11.0/24 | EC2 Web サーバ プライベートサブネットへの踏み台サーバ |
1c | 10.0.12.0/24 | Elastic Load Balancing |
AZ | プライベートサブネット | 用途 |
---|---|---|
1a | 10.0.21.0/24 | RDS マスター スレーブのレプリケーション 障害時、スレーブにフェイルオーバー |
1c | 10.0.22.0/24 | RDS スレーブ リードレプリカ |
サブネットとは
VPC の中に作られるグループみたいなものだと思ってください。
ソースコード・Web サーバなど、ユーザが直接アクセスするリソースはパブリックサブネット、
セキュリティが大事な DB サーバはプライベートサブネットに配置されることが多いです。
CIDR とは
VPC やサブネットの「ネットワークレンジの /16
や /24
部分」を CIDR (サイダー) といいます。
この CIDR で IP アドレスの帯域を制限します。
CIDR | 意味 | サブネットマスク |
---|---|---|
/32 | 1 種類の IP アドレス帯を利用できる ※ 2^0 = 1 | 255.255.255.255 これだけが使える |
/28 | 32 – 28 で 4 ビットのこと = 4 ビット分の値 (16) が存在する ※ 2^4 = 1616 種類の IP アドレス帯を利用できる | 255.255.255.240 最後の 240 〜 255 を使える |
/24 | 32 – 24 で 8 ビットのこと = 8 ビット分の値 (256) が存在する ※ 2^8 = 256256 種類の IP アドレス帯を利用できる | 255.255.255.0 後半 1 桁を自由に使える ※ 0 から 255 |
/16 | 32 – 16 で 16 ビットのこと = 16 ビット分の値 (65536) が存在する ※ 2^16 = 6553665536 種類の IP アドレス帯を利用できる | 255.255.0.0 後半 2 桁を自由に使える ※ 0 から 255 |
厳密には AWS が事前に 5 つ分の IP アドレスを予約しているため、全部は使えません。
たとえば /24
の CIDR を使っても (256 – 5) で 251 種類の IP アドレスしか利用できません。
CIDR による IP アドレスの個数については、wikipedia が参考になりますよ。
CIDR のセオリー
VPC の CIDR は /16
で多めに IP アドレス確保しておき、
サブネットは /24
で少なめに IP アドレス確保して使うのが定石です。
あとで IP アドレス足りなくなって困るよりは、多めに確保しておこうって考え方です。/16
を指定しておくのは AWS 公式のベストプラクティスにもなっています。
…ですが、やみくもに IP アドレス確保しすぎてもガバガバ設計になってしまいます。
構築するシステムの要件を理解しておくことは重要です。
ロードバランサーの CIDR
最低 /27
の CIDR であること、つまり最低 8 つの空き IP アドレスが必要となります。
サブネットの IP
サブネットの IP ですが、たとえば今回の 10.0.11.0/24
や 10.0.12.0/24
のように、
自由に使える後半 2 桁 (0.0) の「最初の 0 の桁」に番号を割り当てることが多いです。
マルチ AZ とは

AZ はアベイラビリティゾーンの略です。物理的なサーバが置いてあるエリアのことです。
1 つの AZ だけに Web サービスを置いておくと、その AZ に障害があると止まってしまいます。
なので今回、AWS 東京リージョンの「1a」と「1c」という AZ の利用を想定しました。
東京リージョンの「1b」は現在廃止になっているので、選択できません。
パブリックサブネット
- AZ: 1a
- パブリックサブネット:
10.0.11.0/24
- ルーティングテーブル
- VPC
10.0.0.0/16
との通信を許可する - VPC
10.0.0.0/16
定義外の IP と通信する場合- Internet GW を利用する
- VPC
- パブリックサブネット:
- AZ: 1c
- パブリックサブネット:
10.0.12.0/24
- ルーティングテーブル
- VPC
10.0.0.0/16
との通信を許可する - VPC
10.0.0.0/16
定義外の IP と通信する場合- Internet GW を利用する
- VPC
- パブリックサブネット:
Internet Gateway とは
パブリックサブネットでは VPC の IP 10.0.0.0/16
以外にもアクセスしていいことにします。
つまり、インターネットの世界に繋がってもいいということです。
その場合 Internet GW (インターネットゲートウェイ) というものを利用します。
プライベートサブネット
- AZ: 1a
- プライベートサブネット:
10.0.21.0/24
- ルーティングテーブル
- VPC
10.0.0.0/16
との通信しか許可しない - もし VPC
10.0.0.0/16
定義外の IP と通信したい場合- Nat GW を利用する
- VPC
- プライベートサブネット:
- AZ: 1c
- プライベートサブネット:
10.0.22.0/24
- ルーティングテーブル
- VPC
10.0.0.0/16
との通信しか許可しない - もし VPC
10.0.0.0/16
定義外の IP と通信したい場合- Nat GW を利用する
- VPC
- プライベートサブネット:
DB サーバがインターネットの世界に繋がる状態は大変危険です。
なので基本的には 10.0.0.0/16
の IP しか許さない定義をします。
NAT Gateway とは
しかし、プライベートサブネットで「なにかインストールしたい」場合もあると思います。
もし一時的にネット接続したい場合は NAT GW (ナットゲートウェイ) というものを使います。
NAT Gateway の料金体系
詳しくは AWS の公式で調べてほしいのですが…
- 1 時間利用で $0.062
- 処理データ 1 GB 当たり $0.062
の課金となっており、Nat GW を繋ぎっぱなしにした場合、
1 ドル 120 円換算で「1 か月最大 5,400円 + データ通信料」位かかります。
VPN の料金体系
ちなみに VPN の料金は 1 時間で $0.048 となっています。
1 か月最大で 4,200 円くらいです。
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CIDRの/16って512台じゃなくて65536台やで
コメントありがとうございます!
すみません、まだまだ勉強不足で誤った情報を載せてしまいました。
記事を修正いたしました。